ダークファンタジー映画『ムーンガーデン』あらすじ、感想

シッチェス・カタロニア国際映画祭2023の「New Vision部門」で作品賞を受賞し、映画ファンから熱狂的な支持を集めた映画『ムーンガーデン(Moon Garden)』を見たので感想を綴っていこうと思います。

ダークファンタジーと聞くとCGフル活用の映像を思い浮かべるかもしれませんが、本作はCGを一切使用していません。使用期限切れの35ミリフィルムと、実写やストップモーション・アニメーションなどの「アナログ特撮」だけで作り上げられた、映像作品です。

  1. 『ムーンガーデン』作品情報
  2. 『ムーンガーデン』の詳細なあらすじ
  3. CGゼロ!驚異のアナログ映像美
    1. 使用期限切れの35ミリフィルムが生む「ざらつき」
    2. ストップモーションと特殊メイクの魔法
  4. 個人的な感想★★★☆☆

『ムーンガーデン』作品情報

引用:映画『MOON GARDEN/ムーンガーデン』 公式サイト

まずは、映画の基本情報はこちら。

項目詳細
原題Moon Garden
製作年・国2022年・アメリカ
監督・脚本ライアン・スティーブンス・ハリス(Ryan Stevens Harris)
主演(エマ役)ヘイヴン・リー・ハリス(Haven Lee Harris)
日本配給S・D・P
上映時間97分

本作の監督を務めるライアン・スティーブンス・ハリスは、ローランド・エメリッヒ監督作品(『ムーンフォール』など)で編集や音響デザインを手がけてきた気鋭のクリエイターです。そして、5歳の主人公エマを演じているのは、なんと監督の実の娘であるヘイヴン・リー・ハリス。当時5歳だった彼女の、演技とは思えないリアルな表情が本作の大きな見どころとなっています。

『ムーンガーデン』の詳細なあらすじ

本作は、現実世界と、主人公の意識下にある「夢の世界」が交錯しながら進んでいきます。

物語の主人公は、想像力豊かで愛らしい5歳の少女、エマ。彼女の家庭は、優しいけれどどこか不器用な母・サラと、作家である父・アレックスの間に深い溝ができ、日常的に激しい口論が絶えない状態でした。

ある夜、両親の言い争いはこれまでになく激化します。怒声と物が割れる音に怯えたエマは、2人を止めようと部屋を飛び出しますが、パニック状態のまま階段から足を踏み外し、転落してしまいます。頭を強く打ったエマは、そのまま深い昏睡状態に陥り、病院の集中治療室へと運ばれることになります。

エマがふと目を覚ますと、そこは病院のベッドではなく、見渡す限り薄暗く、錆びついた機械が転がる不気味な森のような「異世界」でした。

空は毒々しい色に染まり、現実世界では見たこともないような奇妙な生き物たちが蠢いています。自分がなぜここにいるのかもわからないエマですが、彼女の手元には古びたおもちゃのトランシーバーがありました。そこからは、現実世界で昏睡状態の娘を必死に看病し、語りかける両親の「声」がかすかに聞こえてきます。

エマは、トランシーバーから聞こえる両親の声を道しるべに、この暗く冷たい世界から抜け出し「お家に帰る」ための旅を始めます。

しかし、この悪夢のような世界はエマを簡単に帰してはくれません。彼女の行く手には、数々の怪異が立ちはだかります。

中でも恐ろしいのが、執拗に追いかけてくる恐ろしいモンスターです。カタカタと不気味な音を立てながら迫りくるこの怪異から逃れるため、小さなエマは知恵を絞り、時には傷つきながらも、ただひたすらに光を目指して暗闇を進んでいきます。

果たしてエマは、無事に現実世界へと生還し、両親の待つベッドで目を覚ますことができるのでしょうか。

CGゼロ!驚異のアナログ映像美

この映画を語る上で絶対に外せないのが、現代の映画制作の常識を覆す「CG完全不使用」という制作手法でしょう。

使用期限切れの35ミリフィルムが生む「ざらつき」

本作は、デジタルカメラではなく、全編にわたって使用期限の切れた35ミリフィルムと、ビンテージのオールドレンズを使用して撮影されています。

期限切れのフィルムを使うと、映像に独特の粒子感(ノイズ)や、予測できない色転びが発生します。この「劣化」を逆手に取ることで、エマが迷い込んだ夢の世界の「ザラザラとした不穏な空気感」や「どこか懐かしい絵本のような質感」を見事に表現しているのです。

ストップモーションと特殊メイクの魔法

劇中に登場する不気味なクリーチャーや背景の動きは、どうやって作られたのでしょうか?

監督は以下の古典的な特撮技術を駆使しました。

  • ストップモーション・アニメーション:人形などを少しずつ動かして1コマずつ撮影し、動いているように見せる技法。(『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』などでお馴染みですね)
  • ミニチュア撮影:巨大なセットを組む代わりに、精巧な縮小模型を作って撮影する手法。
  • タイムラプスと多重露光:時間を早送りしたような映像や、フィルムに映像を重ね合わせる技法。

こうした手作りの技術だけで構築された映像は、CGのようなツルッとした綺麗さがない分、「そこに得体の知れない何かが本当に存在している」という生々しい説得力を生み出しています。

個人的な感想★★★☆☆

まず、頭を打ってからのスタートだったので今後の展開がすぐわかる、と思いました。主人公も小さい女の子なのでそこまで大きな展開はないだろうなと。

映像の世界観は好きでした。あとは「パンズ・ラビリンス」になんか似てる気がする、と視聴を始めた段階で思いましたね。

怪異に食べられたキャラクターが小さいミニチュアになるのは良かったです。世界観は好きでしたが、ストーリー展開が単調であり若干退屈さを覚えました。

「パンズ・ラビリンス」が好きな人はそれなりには楽しめるでしょう。世界観が似ていますし。普段アクションばかり観ている人にはあまり向かないのではないかなと。個人的には2回目視聴はしないと思います。

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