「乳幼児(にゅうようじ)」という言葉はよく使われますが、具体的に何歳から何歳までを指すのでしょうか、
法律上の分類と心理学などの学問的な分類では、区切り方が異なります。
この記事では、乳幼児期の定義の違いと、この時期に起こる「身体」と「心」の発達の特徴について、わかりやすく解説します。子育て中の方や、勉強をしている方はぜひ参考にしてみてください。

まず乳幼児期とは?
乳幼児期とは、「乳児期」と「幼児期」を合わせた呼び方で、人間の一生の中でも特に心身の成長・発達が大きな重要な時期です。
ただ「乳幼児」という言葉自体は法律で厳密に定義されているものではなく、「乳児」と「幼児」を合わせた便宜的な呼び方として使われています。
それぞれの定義を見ていきましょう。
法律(児童福祉法・母子保健法)における定義
日本の福祉や保健の分野では、年齢によって明確に区分されています。
• 乳児:出生から満1歳未満
• 幼児:満1歳から小学校就学の始期に達するまで(満6歳になる年の3月31日まで)
一般的な生活や行政の手続きにおける「乳幼児」は、この0歳〜小学校入学前までを指すことがほとんどです。
発達心理学における定義
発達心理学では、年齢だけでなく「発達の節目(行動・能力の質的変化)」によって区切る傾向があります。
• 乳児期…生まれてから、歩行や初語の出現までの時期(おおむね1歳半頃まで ※2歳頃までとする考え方もあります)
• 幼児期…歩行や言葉を獲得してから、小学校入学までの時期
このように定義は多少異なりますが、共通しているのは、他者への全面的な依存から、自立へと向かう重要な移行期であるという点です。
【乳幼児期の身体発達】ぐんぐん成長する体と2つの原則
乳幼児期は、人生で最も身体の成長が著しい時期です。出生時に約3kgだった体重は、1歳頃には約3倍(約9kg)になります。すさまじい成長ですよね。
また、運動機能の発達には、重要な2つの原則があります。
① 頭部から下部へ(上から下へ)
発達は頭から足の方向へ進みます。
(例)
首がすわる → お座り → ハイハイ → 立つ → 歩く
② 中心から末梢へ(内側から外側へ)
体の中心から、手足の先へと発達が進みます。
(例)
腕全体で抱える → 手のひらで掴む → 指先でつまむ
これらの原則を知っておくことで、子どもの発達段階をより理解しやすくなります。
心と知能はどう育つ?
身体の発達に伴い、子どもは周囲の世界を積極的に探索するようになり、「心(認知・情緒)」も大きく発達します。
代表的な理論を見ていきましょう。
ピアジェの認知発達理論(知能の発達)
• 感覚運動期(0〜2歳頃)
見る・触る・舐めるなどの感覚と運動を通して世界を理解します。
「いないいないばあ」を楽しめるようになるのは、対象の永続性(見えなくても存在し続ける)を理解し始めるためです。
• 前操作期(2〜7歳頃)
言葉やイメージを使った思考が可能になりますが、この時期は「自己中心性(egocentrism)」と呼ばれる認知的特性が見られます。これは道徳的な「わがまま」とは異なり、まだ他者の視点に立って物事を考えることが難しい状態を指します。
エリクソンの心理社会的発達理論
エリクソンは人生を8段階に分け、それぞれに心理的課題(発達課題)があるとしました。各段階では、相反する2つの力のバランスを通じて、健全な発達が促されます。
• 乳児期:「基本的信頼感 対 不信感」
養育者に世話をしてもらう経験を通じて、「世界は安全である」という安心感を獲得します。
• 幼児前期:「自律性 対 恥・疑惑」
歩行や言葉の発達により、「自分でやりたい」という欲求が強まります(イヤイヤ期)。これは自律性の発達において重要な過程です。過度に制限されたり失敗を責められたりすると、恥や自己不信につながる可能性があるとされます。
※なお、幼児後期(3〜6歳頃)には「積極性 対 罪悪感」という次の発達課題へと移行していきます。
ボウルビィの愛着理論
乳幼児期において極めて重要なのが、「愛着(アタッチメント)」の形成です。
特定の養育者との間に築かれる情緒的な絆が、子どもの心の安定を支えます。
この「安全基地」があることで、子どもは安心して外の世界を探索し、自立へと向かっていきます。
大人はどう関わるべき?発達を支えるポイント
まずは応答的な関わりを大切にすることです。赤ちゃんの発信(泣く・声を出す)に対して、優しく応えることの積み重ねが、愛着や基本的信頼感を育てます。
そして子どもの「やりたい!」を大切にしましょう。幼児期には自発性が芽生えます。できるだけ子どもの「やりたい」という気持ちを尊重し、見守ることが大切です。
もちろん危険なことは止めましょう。
まとめ
この記事では乳幼児期の定義と発達の特徴について解説しました。
• 法律上は「0歳〜小学校就学前」、心理学では発達の節目で区切られる
• 運動発達には「上から下へ」「中心から末梢へ」の原則がある
• 愛着や基本的信頼感といった心の土台が形成される
乳幼児期は、その後の人格形成や人間関係の基盤をつくる、生涯における非常に大切な時期です。発達の特徴を理解すると、子どもと関わるときの悩みが少し減るかもしれません。
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